IgA腎症を克服した野球選手の物語

腎臓病に負けず、プロ野球を目指す平尾選手を応援します。

去る7月18日(水曜日)午前6時過ぎのNHK・おはよう日本で、たった数分の放映でしたが、社会人野球・ホンダ鈴鹿の主戦投手・平尾奎太(けいた)選手が病気を乗り越え活躍する話が紹介されました。
ありがたいことに、彼が小生の外来を受診する場面も紹介していただきました。

腎臓内科外来での平尾投手と私

平尾選手は大阪桐蔭高校二年生の時に難病IgA腎症を発症しました。チームが甲子園春夏連覇した平成24年、エースの藤浪晋太郎選手(現・阪神タイガース)と共にベンチ入りするも登板できないまま不完全燃焼に終わってしまいました。その後、いったん野球を離れて治療に専念し、病気が癒え同志社大学3年生から野球に復帰しました。卒業後はホンダ鈴鹿野球部に入団し、活躍が認められ社会人野球の日本代表にも選ばれ、今秋(2018年)のドラフト会議でも注目の選手と言われるほどに復活しています。
平尾投手とはホンダ鈴鹿に入部された時からのつきあいで、現在も小生の鈴鹿回生病院附属クリニック腎臓内科外来に、IgA腎症の管理のために通院されています。彼の病状はすっかり良くなって、いまでは「完全寛解」状態(尿検査をしても異常を認めず、腎機能検査も正常な状態を意味する)。数か月ごとに、安定を確認するだけになっています。

高校時代の平尾選手と藤浪選手

ベンチ入りするもついに登板の機会がなかった。

番組では、高校時代に夢が一度は破れて失意に陥ったこと、桐蔭高校の先輩(現阪神タイガースの岩田稔投手)に「病気を克服したら、きっとなんでもできる」と励まされたこと、病気で苦労した分を必ずプラスにするという強い意志で復活したこと、スポーツを通して人を励ます存在になりたいこと、プロ野球に進みたいことを語る平尾選手の姿が紹介されていました。

身長190㎝近い平尾投手は、診察室に入ってくるとすごい体格、手も指もものすごく大きい。
私も看護師も、圧倒されるくらい、存在感半端ない!
今までどれほど苦労してきたんだろう。その根性と精神力で、きっとこれからも頑張るにちがいありません。

不屈の闘志でトレーニングに励む平尾選手

ついに社会人野球でも日本代表に選ばれるまでになった。

そんな平尾投手を応援しています、頑張れ!
できることなら、彼の夢が叶いプロ野球の世界で大活躍してほしいと願っています。
(ここまでの画像は、すべてNHKのTV番組画像から転用させていただきました)

病気が生き方を決めるのではなく、生き方が病気(健康)を決める (今中孝信先生)

こんな番組に、私なりに少し主張したい箇所がありましたので、蛇足ながら書かせてもらいます。
「病気を克服さえすれば、なんでもできる」という考え方です。
私は”病気が生き方を決めるのではなく、生き方が健康(病気)を決めるのだ”という恩師・今中孝信先生(元・天理よろづ相談所病院副院長、研修医時代の指導者)の言葉をモットーにしています。

生き方が健康を決める、今中孝信先生著

番組で紹介された難病IgA腎症患者さんを、今までに何百人も診察してきましたが、病状は本当にさまざまです。
人生を狂わされることになったと患者さんもたくさんいらっしゃいました。
だけど、考え方・生き方こそ大事なのだと信じる私は、病気の皆さんに、『病気であっても、なんでもできる』と励まして続けてきました。
出来ることなら完治して差し上げたい、しかし、病気も人生も思うようにはいきません。
だから、自分の人生を自分らしく思い切り努力することが、IgA腎症のような慢性疾患と向き合うために、求められることではないでしょうか。

☘今日は、自分が担当している患者さんだけでなく私までTVに映し出されたので、嬉しくなって熱く語ってしまいました。
平尾選手が望んでいるのと同じように、私もまた、患者さんの養生や治療を励ましサポートしていきたいと思っております。
IgA腎症や慢性腎臓病で悩んでいることがありましたら、ご相談ください。

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