高血圧のお薬、夏は減らします!

降圧剤を減らす夏!

暑中お見舞い申し上げます。
今年も猛暑の気配ですが、皆様、おかわりありませんか?
2週目に入った7月は、野村医院では「降圧剤を減らす」あるいは「中止する」患者さんが多いです。

夏になると、通院してくださっている患者さんの半分くらいは、降圧剤を弱める夏バージョンに変更します。
錠剤の数や種類を減らしたり、力価の弱いものに変更することが多いです。
夏は高温のせいで、体の中の血管が広がるために、お薬がさらに効果を発揮し血圧が下がりすぎることがあるからです。

過降圧(下がり過ぎ)は、とくに年配者では避けなければなりません。
立ち眩みや転倒の原因となりますし、お薬の種類によっては、急性腎障害の原因にもなりますから軽んじることはできません。
しかし、秋になり涼しくなると、敏感な人なら10月~11月には、血圧が上がり始めるのでお薬を徐々に戻していきます。

なぜ、季節に合わせた治療をするのか?

患者さんによっては、春夏秋冬、年に何回も薬を調整することもあります。
ちゃんと記録してくださった家庭血圧の変化を見ていると、患者さんの血圧は四季折々に変化していることが分かります。
それを感心して観ているわけにはいきません。
なるべく、その変動が少ないように対応していくことが医師の仕事です。

季節を問わず血圧が安定していることで、高血圧の合併症(動脈硬化、心筋梗塞・狭心症、心不全、腎不全、脳卒中など)を減らす・予防できると期待されているからです。
まさに、これは、家庭血圧をつけてくださる患者さんと医師の共同作業なのです。

家庭血圧記録は、高血圧治療の最も基本。医師と患者の信頼関係の証です。

語弊があるかもしれませんが、季節に合わせた薬の調節は、医師として嬉しい仕事です。
患者さんが見せてくださる家庭血圧記録は、患者さんが自分の血圧にとても気をつけていらっしゃる証拠です。
それを基に、微調整する役割を任命されているわけですから、”今はやりの言葉”でいうと、医師としての責任感充実感ともに『半端ない』というやつです。
たかが高血圧~なんて言わせません。
これをこつこつとすることが、将来の健康維持に必ず役立つと信じています。

だから、みなさんには家庭血圧をちゃんと測定して記録してほしいです。下記の家庭血圧に関するブログ記事もお読みください。

いつ頃から季節による微調整が必要になった?

私は医者になって37年間、高血圧のお薬を処方しない日はないくらい頻繁に高血圧の治療をしていますが、季節に合わせて血圧の薬を調節するようになったのは、今から20年ほど前からでしょうか。正確には覚えていませんが、多治見や熊谷などの内陸部で軽く35℃を越えることが常態化した時期とも言えます。
我が国の穏やかな温帯の四季が、次第に変化して、とんでもない酷暑が毎年訪れるようになったことが、一番の要因だと思いますが、それ以外にも原因はあるかもしれません。

たとえば
◆日本人が昔ほど塩分を摂取しなくなったから、夏の気温上昇に敏感になった。
◆今日ほど、家庭血圧計が普及していなかったので、以前は季節性の変動に気づかなかっただけかもしれません。
◆あるいは、血圧の薬の性能が向上したために、しっかりコントロール出来るようになっただけでなく、下がりすぎに注意する必要がでてきたのかもしれません。

理由はともかく、昨今の夏には、降圧薬を減らさないと危険なことが多いのです。
血圧の変動に気温が大きな影響を有していることは事実なのです。
こまめに調整して、より良い血圧コントロールを目指しましょう。

血圧は季節によって変動しやすいものです。

血圧の変動に関与するのは気温だけですか?

血圧はとても変動するものです。
続けて二回測定すると、同じ値が示されることは、まずありませんね。
だから、血圧計が狂っていると思う人もいらっしゃるくらいですが、それは全く逆です。
同じ値が示される方が、私は故障を疑いたいです。

たとえば、ここまで述べてきた気温以外に、ストレス、不安、食事内容、睡眠不足、多忙、運動、喫煙、飲酒、それに、不規則な服薬など、さまざまな原因で血圧が変動しているのです。
その中で、季節の温度変化と精神的ストレスの影響は一定期間続くので要注意項目と考えています。
このブログで述べてきたように、家庭血圧を記録している人には、一喜一憂せず、月単位で血圧の変動を見守ってもらえたらとアドバイスします。

今日は、みなさんにも血圧に興味を持っていただきたくて季節によってお薬を使い分けてより良い治療を目指している診療を紹介させていただきました。

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