のどを詰まらせる最大の敵は、お餅!
だれに尋ねてみても、詰まり易い食べ物は『お餅』という答えが返ってきます。
それほど、お餅は、のどにつかえます。
実際に、消防署や救急病院の調査においても、のどを詰まらせて救急受診する年配者の原因食物は、お餅が圧倒的に多いです。
なのになぜ、日本人はお餅を食べるのでしょうか?
それは、愚問ですね、日本人だから食べるのです。
危険だと知りつつも、美味しいから! 日本人だから! こよなく愛するお餅。
それが文化というものです。
その話は、ま、ここで置いておきます。
なぜ詰まり易いのか?
なぜお餅がのどに詰まり易いのかを、高齢者の誤嚥と窒息①で紹介した井上登太先生は、次のように説明していらっしゃいます。
お餅を口に入れるときは、どんな状態でしょうか?
焼いたり、汁物に入れていたりして、暖めたお餅は、とても柔らかくなっていますね。
だから、「食べやすい、飲み込みやすい食品」と思い込んでいるのです。
ところが、お餅がのどまで来る頃には、だんだん温度が下がって、固くなります。
つまり、飲み込みにくくなってくるのです。
そこで気がついても、もう遅い!
優しい顔をして人を油断させておいて、内部に侵入したら、強面の悪人に変身する~~
そんな怖い人と同じなのです、お餅は・・・・
若い人でも、のどにあるお餅を、「ごく!」っと思いっきり飲み込むことがあるでしょう。
それほど「力」が必要なのですが、年配者にはそれができないのです。
お餅を食べるの止めますか?
では、お餅を食べるのを止めますか?諦めますか?
車の運転が好きなドライバーの運転免許証を、単に高齢であることを理由に取り上げることは、できませんね。
お餅を諦めろというのは簡単ですが、事は決して簡単ではありません。
日本人をやめろ、人間であることをやめろ、と言っているにも等しいくらい、私たちにとって「お餅」は大切な食べ物です。
胃瘻や腸瘻で生き永らえたところで、その人の人生は本当に幸せということでできるでしょうか?
好きなものを食べさせてもらえないために、精神的にも大きなダメージを受ける可能性さえあります。
お餅は、どうしたら安全に食べられる?
前述の井上先生は、参考になる以下のことを提案してくださっています。
高齢者施設での窒息の死亡率は、昼間よりも夕食の時の方が、高いのだそうです。
その理由は、ふたつあるとのこと。
◆昼食時は介護・介助スタッフが周囲にいるから、対応が素早い・手厚い一方で、夕食時には人手が足りない・不足がちなことが多いから。
◆夕食には固形物の食材(肉など)が供されることが、昼食よりも多いので、窒息が起こると致死的になりやすいから。
以上のことから、次のような予防策がたてられます。
1)ひとつは、食べ方。
当たり前のことですが、のどの中で、固くなっても、塊が小さければ、飲み込むことは可能でしょう。
どんな食材でも、同じです。お肉もパンも野菜も、小さく切って食べるようにしましょう。
お餅を食べるぞ!という気構えや準備運動も大切だということは、前の「高齢者の誤嚥と窒息①」でも申し上げました。
2)衆目の中で食べよう。
スタッフの少ない施設では、誤嚥や窒息による重大事故を少しでも減らす目的のため、夕食に好まれる食品をあえて昼食のメニューに編入させることさえあるということです。
患者さんファースト、高齢者ファーストの素晴らしい対応だと思います。
今日は、久しぶりにブログを書かせていただきました。
お餅をテーマにしました。
参考になりましたら幸いです。