高齢者の誤嚥と窒息③ -最終回:電気掃除機は使えるのか?-

目の前の人が、食べ物をのどに詰まらせたら!

目の前の人が、食事をのどに詰まらせたら、どうするのか?
慌ててはいけないけど、悠長にはしておれません。
何度もこのブログで紹介している井上登太先生は、下記のようにアドバイスを下さっています。

1)まず、前かがみに座らせたり、四つん這いの姿勢を取らせて、物を吐きやすくしましょう。
2)背中を叩いたりお腹(みぞおち)を下から手のひらで圧迫したりして、吐くのを手伝いましょう(図1)。
右利きの人は、のどを詰めたひとの右側にいると便利です。
お腹を圧迫したり、口の中のものを掻き出したりするのは、やはり利き腕が器用だからです。

図1)前かがみに座らせて、あなたが右利きならその人の右側から、右手をお腹に当ててタイミングよく圧迫します。左ては肩甲骨の間を叩いて吐くことを促します。

3)小柄な人なら、自分の膝にうつぶせるように寝かせて、お腹を圧迫したり背中を叩いたりするのもよいかもしれません(図2)
この場合も、右側から接しましょう。

図2)小柄な人なら自分の膝に乗せるように四つん這いになってもらいます。やはり右手でお腹を圧迫、左手で背中を叩きます。

3)口の中を見せてもらい、掻き出せそうなら自分の指でトライしましょう(その時は四つん這いは無理です)。
4)その時、左手の指(あるいは、その人の指)で、下の前歯を引っ張り下げるように口を広く開けさせます(図3)。

図3)下の歯を引っ張り下げるようにして口を開ける。この際も右側からアプローチ。

5)右手の指に、ハンカチやガーゼなどを巻いたら、粘り気のある食物も掻き出しやすくなります(図4)。

図4)ドロドロしたものを掻き出すには、指(右利きの人は右側です)にハンカチやガーゼを巻いたら良いこともあります。

6)苦しそうな状態が数分間も続くなら、並行して救急要請した方が良いかもしれません。

電気掃除機は使えるのか?

粘り気のある食品が、のどの奥に見えているのに、掻き出すことができない、、、
そんな時、もしかしたら、自宅にある電気掃除機が役立つかもしれません。
手や指が届かない食物や、ドロドロだから掻き出すのに時間を要する食物を、素早く吸引してくれるかもしれません。

電気掃除機を使ってよいのか? きっと皆さんは心配するでしょう。
医療施設において、掃除機が用いられることはないでしょう。
ですが、自宅でもし目の前で家族がのどを詰まらせたら、どんな方法を用いてでも、異物(詰まっている食物)を取り除く努力をしなければなりません。
最近は、電気掃除機もパワフルになっているから、口の中の粘膜を傷つけたりする可能性もあるでしょうが、万が一の場合、手をこまねいて傍観するよりも、万に一つの可能性があるなら、それにトライする方が好ましいと私は考えます。

医学部4年生のとき、救急医学の講義で「窒息の対処法」として、なんの医療器具もない時は、『ノドボトケの下方に太い注射針を突き刺せば、最悪の事態は回避できる』と教えられました(この部位は、ほかに大事な臓器や大きな血管が存在しないのです)。今でも、おなじようなことを教えるのか知りませんが、私は、もし現場に居合わせたら、それさえ厭わないでしょう。電気掃除機もそれと同じではないでしょうか。

誤解を恐れずに言うと、電気掃除機であろうが、金火箸であろうが、トングであろうが、助けるためには何でも利用するしかないと思いますが、みなさんは、どう思われますか?
①②③を通して読んでいただき、山添村の、そして、皆様の周りで、年配者が少しでも誤嚥性肺炎や窒息から免れますように願って止みません。

参考書籍

高齢者の誤嚥と窒息について、①②③と書かせていただきました。
私は、呼吸器の専門ではありません。経験も浅いです。
5月から野村医院を始めて一か月半経過しましたが、高齢者の肺炎、とくに誤嚥性肺炎に注意する必要があると感じるようになりました。
そこで、井上登太先生の著書を知り読ませていただきました。
とても、分かりやすく書かれているので、高齢者を介護されているご家族にも紹介したくて、このブログ記事にする決心をしました。

さらに詳しいことを知りたいひとは、この本を読んでみてください。
今回の電気掃除機のことも、井上先生の本を読んで参考にさせていただきました。
一般向けに書かれた本なので、医学書と異なり、誰もが読める内容ですし、手ごろな価格で販売されています。

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