「腎臓が悪い」「尿に血が混じる」「透析が必要だ」こんな時、何科を受診する? 腎臓医、透析医、泌尿器科医の違い

腎臓内科って、透析病院のことですか? 泌尿器科ですか?

♥こんな誤解や勘違いが横行しています。
たとえば、私は腎臓専門医として30年以上診療していますが、いまでも、私が腎臓の手術をすると思っている患者さんがいらっしゃいます。泌尿器科医と混同されているのです。
「透析するようになると困るから、野村先生に診てもらえ」と言われて私の外来を受診した患者さんは、私が「透析専門医」であると認識されているようです。
私は、「透析専門」である前に「腎臓専門医」なのです!
あなたの腎機能低下をいかに抑制して透析にならないように腐心しているのが、「腎層専門医」です。
「透析専門医」は、透析医療に興味はあっても、あなたの「残っている腎機能」には興味はありません。
そういうことで、今日のテーマは、
【患者さんには区別が難しい「腎臓専門医と透析専門医、泌尿器科医、腎移植医の違い」です。】

♠語弊を恐れず、極力簡単に言うと、
①腎臓専門医は、「検尿異常から透析移植まで腎臓病に関わる全てを守備範囲とするが、”特に末期腎不全に進行しないよう腎機能を守ることを主な仕事とする内科系医師」
「末期腎不全」とは、自分の腎臓だけでは生きていけなくないくらい慢性腎不全が進行してしまった状態のことで、生きていくためには、透析や腎移植を必要とします。
②透析専門医は、「腎機能が廃絶した末期腎不全患者さんを【透析医療】によって治療し、生命維持や社会復帰を目指す医師」
③泌尿器科医は、「腎臓や尿路(尿管、膀胱、前立腺)の腫瘍、結石、外傷などを主に外科的に治療する医師、また、排尿障害やED(勃起障害)、男性不妊なども診療対象とする」
④腎移植専門医は、「腎臓移植手術をするだけでなく、移植後の拒絶反応や合併症も管理する。移植医療に専念する医師もいるが、多くは泌尿器科医か外科医を兼任している」
となります。

腎臓病には色々な種類がありますから、担当する専門科も多岐にわたります。よく読んで受診する科を考えてください。

♦今日は、とくに①腎臓専門医と②透析専門医の関係について述べます。③泌尿器科医と④腎移植医は、比較的分かり易いから。
腎臓学会と透析学会があり、①と②それぞれの専門医を認定するシステムが存在します。
私のように、両方の専門医資格を有している者もいますが、片方しか有さない者もいます。
腎臓病の専門になると決めた若い医師の大部分は、ふたつの学会に入会して両方の資格を取得しようと研鑽します。しかし、透析医療に途中から関わるようになった医師は、②透析専門医の資格を取得できても①腎臓専門医の資格が取りにくいうえに、「腎機能保持」にそもそも興味がない医師もいます。②透析専門医には、内科医だけでなく、外科医や泌尿器科医もいます。
一方、①腎臓専門医の中には、「腎機能保持」には熱心だが、末期腎不全に進行してしまったら透析医療や移植医療には関与しない医師もいます。透析の知識や技術には興味がない医師もいます。③泌尿器科医のなかにも、腎臓専門医資格をもつ人もあります。それどころか、①~④すべての資格を有する泌尿器科医もいます。

☘さて、このように職種を大別してみましたが、それでも、患者さんは、どの職種に診察してもらうべきか分かりにくいと思われるので、もう少し掘り下げ解説します。

こんな時、どの科を受診したら良いの?

Case1 「腎臓の働きが低下している」と言われたら?
①腎臓専門医に行きましょう。
「腎臓病を診療します」と謳っていても、それが透析施設である場合や②透析専門医資格しか有さない場合もあるので、まず①腎臓専門医がいる腎臓内科を受診してください。あなたの腎臓の働きが悪くなった原因を調べて、対策を講じるのが①腎臓専門医だからです。
しかし、すでに働きが極端に低下していて透析しか治療方法がない場合、②透析専門医や透析施設に紹介してくれるはずです。機能低下が腫瘍や結石による場合は③泌尿器科医を紹介してくれます。

Case2の1 「そろそろ透析が必要だ」と言われたら?
それでも、まずは②透析専門医ではなく、①腎臓専門医に行きましょう。
「透析と言われたけど、私元気なのに、、」きっと、あなたはそう思っているでしょう。そうなんです。多くの患者さんは、かかりつけ医から透析を勧められた段階では、まだまだなすべきことがあります。すぐに②透析専門医や透析施設を受診する前に、腎臓医があなたの腎臓を、少しでも長持ちさせる方法を考えることができるかもしれません。
私の外来でも、かかりつけ医から透析を勧められたものの、その後、何年間も保存療法を続けている患者さんがたくさんいらっしゃいます。たとえば、降圧剤や高脂血症治療薬、鎮痛剤などの処方を工夫することによって、よけいな腎機能の低下を避けられることがあります。

Case2の2 「そろそろ透析が必要だ」と言われたら?
かかりつけの医者は、あなたに「透析」という言葉を使って説明しますが、「透析しかない」と考えないでください。あなたのかかりつけ医を含めて一般の医師は、「血液透析」しか知らないことが多いので、「透析」「透析」と話してしまいがちだからです。
彼らが言う「透析が必要な状態」は、【「血液透析」「腹膜透析」「腎移植」の三つの選択肢がある】ことを意味しています。
年配者や合併症が多い場合は腎移植は困難ですが、移植のことをまったく知らずに透析を選択することは避けなければなりません。
また透析医には自施設で血液透析を受けてもらいたいという気持ちが強い場合が多いので、あなたに「腹膜透析」や「腎移植」という選択肢があり得ることが、十分に伝わらない可能性があります。
腎移植を受ける・受けたいということになれば、④腎移植専門医に紹介してくれるはずです。腎移植ができない場合でも、さらに「血液透析」と「腹膜透析」の方法が残されています。あなたにどれが適しているか説明してくれるのが①腎臓専門医です。

腎臓病の早期発見のために、検尿は欠かせません。検診で検尿異常があれば、症状がなくても軽んじないでください。

Case3 「検診で血尿を指摘」されたら?
まずは、かかりつけ医に相談するのが一番です。
しかし、かかりつけ医がいない場合、次のようにしてください。
もし、今回初めてのことなら、まずは③泌尿器科を受診しましょう。とくに中年以上の年齢なら、尿路系腫瘍の初期症状かもしれないからです。
もし、何年も持続していて既に泌尿器科で検査を受けたことがある場合は、内科的な腎臓病による血尿の可能性があるので、①腎臓専門医を受診しましょう。
もし、「尿蛋白も一緒に指摘」されていたら、ますます内科的な腎臓病の可能性が強くなるので、①腎臓専門医を受診するのが良いでしょう。

Case4 「検診で蛋白尿を指摘」されたら?
まずは、かかりつけ医に相談してください。
しかし、かかりつけ医がいない場合、①腎臓専門医を受診してください。Case3に示したように「血尿」は、③泌尿器科医が担当する疾患と①腎臓専門医が担当する疾患がありますが、蛋白尿は、腎臓専門医が診療しなけれならないものだから。

♦今日は、腎臓に関わる四つの専門職の区別を、できるだけ分かり易い説明を試みましたが、いかがでしたでしょうか?
質問がありましたら、遠慮なく、お問い合わせください。
あなたの病状に、もっとも相応しい医師や担当科を私も、いっしょに探します。

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