腎臓は鍛えられるのか?

腎臓は鍛えられるのか

鍛えることができる内臓と、できない内臓

心肺は鍛えられるが、腎臓は?

健康志向の高まる今日、世の中はトレーニング流行りですね。
体力を鍛えよう、ジョッキングしよう、呆け防止に脳トレーニング、、、
齢をとっても、筋肉や心肺に負荷をかけトレーニングすれば、能力が若い頃のように戻ってくるかもしれません。記憶力や計算力も鍛えて維持することができます。

しかし、腎臓は鍛えることはできません。

とくに機能が低下した腎臓は、さぼっているのではなく、実は残された腎臓は、通常以上に働いているので、無理をさせると余計に壊れてしまって病気の進行を速めてしまいます。
つまり、気を付けていないと、腎臓の働きがさらに悪くなるのです。

『残存腎機能』という言葉・腎臓に余裕はない!

低下した腎臓の働きを、たとえば「残存腎機能50%」と表現することがよくあります。
本来100%であるべき機能が50%に低下している状態、残り50%しか残っていないという意味で使われる表現です。
「残り5割だよ、あなたの腎臓は力を半分失ったよ」というニュアンスがよく表れています。
実は、元気な腎臓でさえ、あまり余裕がないのです。
心臓や肺は運動時に安静時の何倍もの機能を発揮しますが、腎臓にはそんな予備力はなく、日頃から目一杯仕事している内臓です。

弱った腎臓は、ブラック企業だ

これを従業員100人の職場に例えてみましょう。
日頃から忙しい職場ではストレスがたまり次々に退職した結果、ついに従業員が40人になってしまった。
しかし、受注した仕事を納期までに完成させなければならない。残った従業員は、一生懸命頑張ってなんとか50人分の仕事をこなしている。
100人いた時でさえストレスが充満していた職場ですから、残った40人のさらに疲弊し、燃え尽きて辞める人が続出する、なのに社長は現場の状況が分からない、、、、
これが、「残存腎機能50%の腎臓」の状況です。

残った従業員40人を救う方法は?

「休ませる、負担をかけないようにする」しかありませんね。会社なら新しい従業員が補充されることもあり得ますが、

腎臓に補充はありません。
だから、休ませなければなりません。

医療と医学が進歩した今日でも、腎臓の機能温存には、これが最も有効な方法なのです。

弱った腎臓を休ませる方法

目が疲れたら本を読むのを休むでしょう。歩き疲れたら休憩しますね。
だけど、腎臓が疲弊しているのに、誰も休ませようとしません。腎臓が困っていることに気づかないからです。
休ませる方法を、自ら会得することはなかなかできません。
それどころか、知らず知らずのうちに、日頃の生活習慣がさらに腎臓に負担をかけていることさえあるのです。

あなたの腎臓がどれくらい困っているのか、それを調べて、休ませる方法をお示しするのが腎臓医の仕事です。

腎臓が困っている、悲鳴を上げている、、、皆さんにそれを知ってもらって、少しでも腎機能を長持ちさせてあげたい。私は、そんな姿勢で患者さんと接しています。
休ませる具体的な方法は、食事、運動、お薬が中心となります。
詳しいことは、これから少しずつお話ししたいと思います。

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